最終更新:2008-01-10 (木) 16:01:11 (6176d)  

情報処理学会/バイオ情報学研究会
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http://www.ipsj.or.jp/katsudou/sig/sighp/bio/

主な研究分野

  • バイオ情報学?
  • ゲノム情報学?
  • 構造情報学?
  • システム生物学?
  • 論理生命学?
  • 生命機能計測学?
  • 生物物理学?
  • バイオ情報学?のための生命,数理モデル
  • シミュレーション?
  • 計算アルゴリズム?
  • 並列アルゴリズム?
  • データベース
  • 言語処理?
  • 多変量解析
  • バイオテキストマインニング?
  • バイオオントロジー?
  • 超高速計算アーキテクチャ?
  • バイオGrid?
  • バイオ情報処理?の新しい計算パラダイム?
  • 分子コンピューティング?
  • 計測アルゴリズム?
  • データ可視化?
  • 医用情報処理?
  • 医学画像工学?
  • 画像診断?

研究会設立趣意書

本研究会は,バイオ情報学の研究者,学生が,その情報処理的側面を中心に研究成果を発表し,切磋琢磨する場を用意して,そこにバイオサイエンス系の研究者も参加するかたちで,この分野の発展に寄与することを目指す.

20世紀後半における科学技術の発展の中心は,情報科学バイオサイエンス?であった.世界中の数億台のコンピュータがネットワークで接続され,ゲノム配列?の解明が進んだ.21世紀は,この両分野が協調して,いよいよ生命?の謎を解明し,人類の進歩に役立てる時代である.

分子生物学?の歴史は,コンピュータの歴史と大体同じで,約50年にすぎない.始まりは,1953年のDNAの2重らせん構造の発見である(ちなみに,現代のコンピュータは1945年ごろに発明されている).それ以来,「DNA-RNA-タンパク質?」という遺伝情報?の流れに関する中心教義の下に,まずゲノム配列?の解明が進み,2重らせん構造の発見から50年を経た2003年の4月には,ヒトゲノム?の解読が終わったという国際共同宣言が行われた. DNA文字列としては,ほとんど読み終わったという宣言である.

ゲノム配列?情報の解明はその後も進んでおり,180種を超す様々な生物の全ゲノム配列?情報が明らかにされた.そして,ゲノム配列?情報を基礎に,遺伝子発現?に注目したトランスクリプトーム解析?遺伝子産物?であるタンパク質?に照準を合わせたプロテオーム解析?などの新しい技術を用いて,今までできなかった規模での,生命活動の網羅的,系統的な解析が可能になっている.この結果,わたしたちは,生物の機能を遺伝子とタンパク質のネットワークとして理解することができるようになりつつあり,バイオサイエンスの基礎と応用研究に革命が起こることが期待されている.バイオ情報学は,そこにコンピュータを大いに活用することを目指している.

情報科学にとって,バイオサイエンス分野への展開は新しい挑戦である.膨大なゲノム配列情報や,関連する情報は日々に増大している.いまわたくしたちの回りに山積するバイオサイエンス情報を整理し,有効な情報として活用可能にしていくためには,新しい方法論の開拓を含めて,情報科学が必須である.情報科学にとってはいわば古典的なHMM,各種の言語モデル動的プログラミング?の技法などがDNA解析の初期から活用されてきたし,超並列コンピュータ?による高速計算も盛んである.今後さらに,機能情報と配列情報やタンパク質の構造情報を統合的に解析して,新たな生物学的知識を発見するために,バイオサイエンス?情報科学との融合研究の展開が必要である.また,ゲノム機能解析のための新しい方法論の開拓,さらには生命現象?そのものを情報科学の立場からの解明すること,脳の働きを情報システムとして理解すること,逆に生命現象を活用する新しい計算アーキテクチャの研究,医療情報学?への応用も欠くことができない.

バイオ情報学と総称される生命科学と情報科学の境界領域は,このように魅力的かつ社会的必要性の大きな学問領域でありながら,バイオサイエンス・情報科学の双方の持つ学問としての指向性の相違が,相互連携の妨げとなっている面がある.わが国にも,バイオ情報学に関する学会がすでに存在し,国際シンポジウムなども活発に開催されているが,いずれもいわゆる理学系の学会運営である.国際会議を例にとれば,比較的少数の厳選された研究の口頭発表と,多数のポスター発表とで構成されることが多い.情報系の研究者,学生がバイオ情報学のための計算アルゴリズム,並列処理などについて,情報工学の面から討論できる場は,現状では限られている.

本研究会は,情報系の研究者,学生がバイオ情報学の情報科学的側面について研究成果を発表し,切磋琢磨する場を準備して,そこのバイオサイエンス系の研究者も参加するかたちで,この分野の発展に寄与することを目指している.